歯の豆知識を紹介しております。
こんにちは、歯科衛生士の丹羽です。
今回は、親知らずにできる歯周炎=智歯周囲炎についてです。まず、親知らずの歯は、体の中央の歯から数えて8番目の歯のことをいいます。上下左右で計4本、全てが必ず生えてくるとは限らず、ずっと生えてこない人もいれば、1本だけ生えたという人もいます。この親知らず、まっすぐきれいに生えてきて、むし歯もなく、上下でしっかり噛んでいれば、とくに問題ありません。
ただ、いちばん奥にある歯なので、歯ブラシが届きにくく、磨き残しが多くなります。また、一部分だけ生えてきた場合も汚れがたまりやすいポケットが形成されがちです。このような理由で蓄積されたプラーク内の細菌に感染すると、慢性的な炎症が起こります。このことを、智歯周囲炎といいます。
智歯周囲炎の症状は、親知らずの生えてる部分の歯肉が腫れたり、痛みが出たりします。そこから進行すると歯肉から膿(出血)が出るようになり、激しい痛みと腫れで口が開きにくくなります。ひどい場合はほとんど口が開かなくなるほどにもなります。また、唾液を飲み込む時など、のどの方まで痛みが出る状態になり、熱がでたり、食欲がなくなり、全身に強い疲労感が出たり、顎の下や頬が腫れてくることもあります。このように、炎症は歯肉からのどの奥、顎の下、首や胸の方にも広がるので、放置せず早めの受診が大切です。
智歯周囲炎の治療は、軽度の歯周炎の場合、自然に膿が排出され症状が引くこともあります。しかし、プラークが深くなったポケット内にたまりやすい状態は変わらない為、そのまま放置すると必ず炎症が再発するので、親知らずの抜歯が勧められます。歯科医院では、歯肉を洗浄したり、切開して膿を出すこともあります。抗菌薬や消炎鎮痛薬を服用してもらうと1~2週間ほどで症状が軽減します。歯肉だけでなく、のどや顎にまで炎症が広がっている場合は、早めに治療しないと重篤化して、入院や点滴治療になることもあります。
~それ以外に親知らずによって起こるトラブル~
*歯ブラシによる磨き残しがあると、手前の歯までむし歯にしてしまいます。
*正しい位置に生えてくることが少ないので、全体の噛みあわせをくるわせたり、隣の歯にぶつかってその歯の 位置まで動かしてしまうことがある。
*いちばん奥の歯なので治療の器具などが届きにくく、むし歯になると治療が難しい。
以上のように、多くの人が親知らずに関して何等かの問題をかかえています。日常生活に支障をきたしたり、歯並びを崩す原因となっている場合は抜歯をおすすめすることがあります。何か異常を感じたら早めに受診しましょう。