歯の豆知識を紹介しております。
こんにちは、歯科衛生士の丹羽です。みなさんは、普段、口を閉じている時に上下の歯は触れ合っていますか?それとも離れていますか?もし、口を閉じている時に、上下の歯を噛み合わせたほうが気分が落ち着くという方は、無意識のうちに上下の歯と触れ合わせて、噛みしめているかもしれません。このことを、歯科の専門用語では、上下歯列接触癖=TCH(Tooth Contacting Habit)と言います。TCHとは、無意識に噛み合わせる癖のことです。
私たちは、普段リラックスしている時は、前歯で1~2ミリ、奥歯で0.5~1ミリ程度開いている状態で、上下の歯は接触していません。ところが、TCHを起こしていると、上下が常に噛み合い、歯の接触で顎に圧力が加わることにより、交感神経が働いて緊張状態となります。このような状態が続くと、身体にはさまざまな悪影響がでてきます。
TCHが身体に及ぼす悪影響
・歯がすり減ったり、欠けたりする
・噛み合わせが悪くなる
・虫歯ではないのに歯が痛んだり、しみたりする
・治療した詰め物や被せ物が壊れる
・歯周病の治療効果が上がらない
・肩こりや、頭痛などの原因となる
・顎関節症になりやすい
次の項目のうち1つでも当てはまるものがあればTCHの疑いが出てきます。
・上下の歯が噛み合っている
・前歯だけ(奥歯だけ)接触している
・上顎、下顎の骨の出っぱりがある(骨隆起)
・上顎に舌全体が付いている
・口を閉じ歯を離すと(付けると)違和感がある
・舌の縁が歯形でギザギザになっている
・頬粘膜の内側に白い線のように歯の痕が付いている
原因は、噛み合わせが悪いことでしっかりと噛むことができず、脳が噛む力を強くしょうと働く物理的要因と、ストレスや精神的緊張から無意識に噛みしめていることと言われています。無意識に噛みしめていることが多い場面は、パソコン作業や荷物を運んだり、ゲームをしたり特に集中作業を行うときです。私たちは、軽く歯を接触させるだけで、歯には相当な力がかかっているのです。
治療法についてはまず、歯が欠けたりしみる症状がひどくなるようであれば、マウスピースを使って頂き、今以上にひどくならないようにしていく必要があります。顎の骨にかかる負担や、歯がすり減る代わりにマウスピースがすり減り、顎の骨への負担を吸収します。あとはストレス解消をすることも大切です。そしてTCHは癖なので、常に噛みしめないように時々意識すること。忘れそうなら「歯を離す」「脱力する」「口を開ける」と書いたメモをいつも目につくところに貼っておくのも効果があるようですので、是非こういったことから試してみられるとよいと思います。