歯科衛生士の川野です。
今回は『歯を抜けたままにした場合のリスク』についてお話しします。
患者様の中には、自分の歯が抜けてしまっても「痛みがない」「不自由に感じない」「治療にお金をかけたくない」等の理由で放置してしまう方も少なくありません。しかし歯を抜けたままにすることは多くのリスクを抱えることになります。
- 噛み合わせの変化 歯列にかかる力のバランスが崩れ、隣の歯が移動し、抜けた歯の方向に傾いたりねじれたりして、噛み合わせに変化が起こります。
- 顎へのダメージ 歯が移動して噛み合わせが狂うと、歯の周りの組織にダメージを与えて歯周病のリスクが高まります。また顎の正常な動きに支障が出て顎関節症のリスクも高まります。
- 咀嚼の問題 歯が抜けたままだと咀嚼の効率が悪くなるため、消化吸収にも悪影響を与えます。
- 発音への影響 特に上の前歯が無くなると、サ行、タ行、ハ行、マ行を発音する際に空気が抜けて上手に発音しにくくなります。
- 見た目の変化 歯が抜けた状態で長く放置すると噛み合わせのバランスが狂い、顔貌にも変化が起こります。
- 精神的な影響 歯が無いことに劣等感を感じ、精神的に悪影響が出ることがあります。
- さらに、残っている歯が傾いたりねじれたりすることによって、治療にもいろいろな不都合が生じることがあります。
- 例えば、歯が無い数が少数の場合、隣接している歯を支えにして人工の歯を抜けた部分に補うブリッジでは、歯が傾いていることで治療が難しくなります。
- 部分入れ歯を作る場合では、傾いた歯に入れ歯のバネをかけると負担が大きく、歯の寿命を縮めてしまうことになります。また歯が無くなったところを長期間放置したことで、対に噛み合う歯が伸びて歯と歯ぐきが噛み、入れ歯を入れるスペースを埋めてしまうこともあります。
- このように歯を抜けたままにしておくと様々な悪影響が起こります。抜けた歯をそのまま放置している期間が長ければ長いほど面倒なことが多くなりますので、できるだけ早く歯科治療をうけることをお勧めします。とはいえ、歯科治療には不安が少なくありません。治療についてわからないことや不安なことがありましたら、ぜひご相談ください。