歯の豆知識を紹介しております。
歯科衛生士の川野です。
今回は唾液についてのお話です。
唾液は口腔内に潤いを与えたり、消化の手伝いをしたり、歯をムシ歯から守ったり、とても多くの重要な機能を持っています。この中から歯をムシ歯から守る機能について詳しくお話ししましょう
歯を守る機能には、歯に付いた汚れを洗い流す「自浄作用」、ムシ歯の酸によって溶かされてしまった初期ムシ歯を元に戻そうとする「再石灰化」、お口の中が酸性に傾いたら中和する「緩衝能」などがあります。
「自浄作用」や「再石灰化」についてはイメージがしやすいと思いますが、「緩衝能」って・・・?
通常のお口の中はpH6.8から7.0、つまり中性に保たれています。酸が歯を溶かすと聞きますが、歯の表面のエナメル層はpH約5.5、歯の根元で歯ぐきが下がるとみえる象牙質はpH約6.0で溶け始めます。
pHは食事やムシ歯菌の活動によって下がってしまい、そのままにすると歯が溶け始めてしまいます。その状態を中和してくれる能力が「緩衝能」です。通常であれば30分ほどで中性に戻すことができるそうです。
食べたら歯磨きをしましょう、というのは汚れを落とす他に「緩衝能」が働きやすくする目的もあります。酸を産み出すものがお口の中に無ければ唾液がスムーズに中性に戻せますよね。
逆にお口の中に酸の産み出す食べ物が長く残っていると、唾液の「緩衝能」が働きにくくなってしまい、歯が酸によって溶かされ始めてしまうわけです。間食(おやつ)が多い人や甘い飲み物を長い時間かけて楽しむ人は注意が必要です。
また唾液の量が少なかったり、「緩衝能」がもともと低い人も要注意です!
ちなみに、酸っぱいものを食べると唾液が出るのも「緩衝能」です。酸がくるのに備えて唾液をたくさん出して準備しているんです。身体ってすごいですよね。