- コラム
目次
鏡を見たときに「前歯がない…」と気になったことはありませんか?
前歯は見た目の印象を大きく左右するだけでなく、食事や発音にも影響を与える重要な歯です。そのまま放置すると、見た目の変化、周囲の歯への影響、噛み合わせの悪化など、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。
では、前歯を失う原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
また、どのような治療法があり、どれくらいの費用がかかるのかも気になるところですよね。
本記事では、前歯がないことによるリスクや治療法を詳しく解説します。適切な対処をすることで、見た目だけでなく、日常生活の快適さも取り戻せます。
早めの対策が大切なので、ぜひ最後まで読んでみてください。
前歯を失う原因とは?
前歯を失う原因には、虫歯や歯周病、事故による外傷、噛み合わせの不調、先天的な要因などが考えられます。
前歯は見た目や発音、食事の際にも重要な役割を果たしているため、原因を理解し、適切な対策を講じることが大切です。
虫歯
虫歯が進行すると、最終的に歯を支える組織まで侵され、抜歯が必要になることがあります。
特に前歯は日常的に見える部分のため、違和感を覚えても放置されがちですが、適切な治療を受けなければ、神経まで達して歯を残せなくなることもあります。
歯周病
歯周病が進行すると、歯を支える骨が溶けてしまい、最終的には歯が抜け落ちる可能性があります。
初期段階では自覚症状が少なく、気づかないうちに進行することが多いため、歯ぐきの腫れや出血などの症状がある場合は早めに歯科医院を受診することが重要です。
事故やスポーツによる外傷
交通事故やスポーツ中の衝撃により、前歯を失うことがあります。
特に接触や転倒のリスクが高いスポーツでは、歯を守るためのマウスガードの使用が推奨されます。
噛み合わせの不調や歯ぎしりによる負担
歯ぎしりや食いしばりが強いと、前歯に過度な負担がかかり、歯が欠けたり折れたりすることがあります。
また、噛み合わせが悪いと特定の歯に負担が集中し、歯の寿命が短くなることもあります。ナイトガードの装着や噛み合わせの調整を行うことで、歯への負担を軽減できます。
先天的な理由(生まれつき歯がない場合)
先天的に前歯が生えてこないケースもあります。
これは「先天性欠如」と呼ばれ、遺伝的な要因が関係していることが多いとされています。
前歯がないまま放置するとどうなる?
前歯を失ったままにしておくと、見た目の変化だけでなく、周囲の歯への影響や噛み合わせの悪化、発音のしづらさ、食事の不便さなど、日常生活にさまざまな支障が出る可能性があります。
時間が経つほど問題が深刻化するため、早めに適切な対策をとることが重要です。
見た目の印象が悪くなる
前歯がないと、口元のバランスが崩れ、顔全体の印象が大きく変わります。
唇の支えがなくなることで口元がへこみ、実年齢よりも老けて見られることもあります。
また、人と会う際に口元を隠したくなるなど、心理的な負担につながることも少なくありません。
周囲の歯への影響
歯は隣同士で支え合っているため、前歯が抜けるとその両隣の歯に余分な負担がかかります。
時間が経つと歯が傾いたり、噛み合わせが崩れたりすることで、他の健康な歯までも失うリスクが高まります。
放置すると、口全体のバランスが乱れ、より大がかりな治療が必要になることもあります。
噛み合わせの悪化
前歯がないと、隣の歯が傾いたり、噛み合わせがずれたりすることで、全体のバランスが崩れます。
これにより、顎関節に負担がかかり、頭痛や肩こり、さらには顎関節症を引き起こすこともあります。
噛み合わせの乱れは、全身の健康にも影響を及ぼすため、軽視できません。
会話に支障が出る
前歯は発音を助ける役割も担っているため、特に「サ行」や「タ行」の発音がしにくくなることがあります。
発音が不明瞭になることで、人と話す際に自信を失い、コミュニケーションが消極的になってしまうことも考えられます。
日常会話に不便を感じるようになると、仕事やプライベートにも影響を及ぼす可能性があります。
食事が困難になる
前歯がないと、食べ物をかみ切るのが難しくなり、特に硬いものや繊維質の食材を食べるのが困難になります。
その結果、食事のバランスが崩れ、栄養不足につながることもあります。
食事のたびに不便を感じることで、食べること自体がストレスになってしまうケースもあります。
前歯を取り戻すための治療法
前歯を失ってしまった場合、見た目や機能を回復するために適切な治療を受けることが重要です。
治療法にはインプラント・ブリッジ・入れ歯の3つがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
自分に合った方法を選ぶために、それぞれの特徴を理解しておきましょう。
インプラント
インプラントは、顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯(クラウン)を装着する治療法です。
インプラント治療の最大の魅力は、見た目が自然で、自分の歯と同じような感覚で噛めることです。
また、隣の歯を削る必要がなく、長期的に安定しやすいのも特徴です。
しかし、手術が必要で治療期間が長くなることや、保険適用外のため費用が高額になる点がデメリットです。
長く快適に使いたい方や、天然歯に近い見た目を求める方に向いている治療法といえます。
ブリッジ
ブリッジは、自費診療の場合、失った歯の両隣にある歯を削り、その上に人工の歯を固定する方法です。
固定式なので違和感が少なく、治療期間も比較的短いのが特徴です。
また、保険適用になるケースもあり、インプラントに比べて費用を抑えやすいメリットもあります。
ただし、健康な隣の歯を削る必要があるため、将来的にその歯への負担が増す可能性があります。
また、失った歯の部分に直接人工歯根を入れるわけではないため、噛む力が弱くなることもあります。
「できるだけ早く前歯を補いたい」「費用を抑えたい」方に向いている治療法です。
入れ歯
入れ歯は、自費診療の場合、取り外しが可能な人工歯で、手軽に前歯を補うことができる治療法です。
部分入れ歯や総入れ歯など種類があり、費用も比較的安価で、保険適用になるケースが多いのが利点です。
しかし、ブリッジやインプラントに比べると装着感に違和感を感じやすく、噛む力が弱くなることがあります。
また、取り外して手入れをする必要があり、慣れるまで時間がかかることもデメリットです。
「できるだけ費用を抑えたい」「手術を避けたい」という方に適した方法です。
前歯の治療にかかる費用の目安
前歯を失った場合、インプラント・ブリッジ・入れ歯の3つの治療法が選択肢となります。
それぞれの費用は治療方法によって異なり、自費診療か保険適用かでも大きく変わります。
ここでは、それぞれの治療法の費用相場と保険適用の可否について解説します。
インプラント
前歯のインプラント治療は、1本あたり約30万〜60万円が一般的です。
この費用には、手術費用、インプラント体(歯根部分)、アバットメント(つなぎ部分)、人工歯(歯冠部分)が含まれます。
内訳
検査・診断料:15,000〜50,000円
手術費用:150,000〜350,000円
人工歯の費用:80,000〜200,000円
総額:約300,000〜600,000円.
インプラント治療は基本的に保険適用外ですが、事故や病気による顎の欠損がある場合など、特定の条件下では保険適用となる可能性があります。
ブリッジ
前歯のブリッジ治療は、1本あたり約20万〜40万円程度が一般的です。
内訳
検査・診断料:15,000〜50,000円
ブリッジ本体の制作費用:50,000〜150,000円
総額:約200,000〜400,000円.
保険適用の可能性がある治療法で、使用する素材によっては自己負担額が軽減されます。
ただし、保険適用のブリッジは見た目や耐久性に制限があるため、審美性を求める場合は自費診療が必要になることもあります。
入れ歯
前歯の入れ歯治療は、1本あたり約10万〜30万円程度が一般的です。
検査・診断料:10,000〜30,000円
入れ歯本体の制作費用:50,000〜150,000円
総額:約100,000〜300,000円.
入れ歯は保険適用が可能で、自己負担額を抑えられる治療法です。
ただし、保険適用の入れ歯は素材や形状に制限があるため、審美性や快適性を重視する場合は自費診療が必要になることもあります。
関連記事
・歯がないところに歯を入れる方法とは?治療法の選び方と費用、注意点を解説
・歯がなくてもインプラントはできる?インプラント以外の選択肢も紹介
・ほとんど歯がない場合の治療費|治療費を抑える方法も紹介
まとめ
前歯を失ったままにしておくと、見た目の変化だけでなく、周囲の歯への悪影響や噛み合わせの乱れ、発音や食事のしづらさなど、日常生活にさまざまな問題が生じる可能性があります。
前歯を失う原因には、虫歯や歯周病、事故による外傷、噛み合わせの不調、先天的な欠如などがあり、どのケースでも放置せずに適切な治療を受けることが大切です。
治療方法には、インプラント・ブリッジ・入れ歯の3つがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。保険適用の有無や費用も異なるため、自分の希望やライフスタイルに合った方法を選びましょう。
前歯は見た目だけでなく、健康にも大きく関わる重要な歯です。放置せず、早めに歯科医院で相談することが、快適な生活を取り戻す第一歩となります。

監修者
おくだ歯科 院長
奥田 幸祐(オクダ コウスケ)
プロフィール
歯科医師として歩みを始めたときから、インプラント治療における様々な症例に対応し、他院で治療ができなかった難症例も数多く治療してきました。自身が日々研鑽を積むだけでなく、多くのドクターにインプラント治療の指導も行っています。この豊富な経験と実績で、皆様に寄り添い難症例にも対応してまいりますので、お悩みの方は是非一度当院にご相談ください。
経歴&職歴
- 平成17年:朝日大学 歯学部 首席で卒業
- 平成17年〜24年:付属病院、開業医勤務
- 平成25年:おくだ歯科・矯正歯科 可児市広見にて開業
- 平成27年:医療法人化 医療法人ALESおくだ歯科・矯正歯科
- 平成27年:厚生労働省認定 歯科医師 臨床研修指導医 取得
- 令和5年:日本顎咬合学会 嚙み合わせ認定医 取得
- 令和5年:特定非営利活動法人 放射線学会 CBCT認定医 取得