- コラム
虫歯で歯を失ったまま放置していませんか?
見た目だけでなく、噛む力や健康にも大きな影響を与えることがあります。歯がない状態をそのままにしておくと、実は様々なリスクが潜んでいるのです。
本記事では、放置することで生じるリスクを詳しく解説し、さらにインプラントやブリッジ、入れ歯といった治療法やその費用についてもご紹介します。健康的な口元を取り戻すための情報をぜひお読みください。
虫歯で歯がない状態を放置するリスク
結論から言えば、虫歯によって歯がなくなった状態を放置することは、健康面や生活の質に大きな悪影響を及ぼします。
早期の治療が重要です。
以下では、放置することで生じる具体的なリスクについて詳しく説明します。
咀嚼機能が低下し、食べ物が十分に噛めなくなる
歯がない状態では、食べ物を十分に噛むことができなくなります。咀嚼は消化を助ける重要な役割を果たしていますが、これができないと胃や腸への負担が増大します。また、消化不良や栄養の吸収不全が発生し、体調不良を引き起こす可能性もあります。
脳への刺激が少なくなり、認知症のリスクが高まる
噛む行為は脳への刺激として働き、認知機能を活性化します。しかし、歯がない状態では咀嚼が減少し、脳への刺激も減るため、認知症のリスクが高まるとされています。
特に高齢者にとっては重要な問題です。
栄養が偏り、高血圧や糖尿病、脳梗塞や心筋梗塞などのリスクが高まる
十分に噛めないことで、柔らかい食べ物ばかりを摂取するようになり、栄養が偏りがちになります。
その結果、糖尿病や高血圧といった生活習慣病のリスクが高まり、さらには脳梗塞や心筋梗塞などの重篤な病気を引き起こす可能性が増します。
前後の歯が移動して歯並びが悪くなる
歯がない部分を放置すると、隣接する歯が空いたスペースに傾き、歯並びが崩れてしまいます。
この影響で、噛み合わせが悪くなるだけでなく、歯の健康全体に悪影響を及ぼします。
さらに、歯科治療が複雑化する可能性もあるため、早期治療が推奨されます。
顎関節症を引き起こす
歯がないことで噛み合わせが不均衡になると、顎に負担がかかり、顎関節症を引き起こすことがあります。
顎関節症は、顎の痛みや開口障害、頭痛など、日常生活に支障をきたす症状を引き起こすため、予防や早期対応が重要です。
顎の骨が吸収されて歯茎が下がり、顔の形が変わる
歯がない部分の顎の骨は、使われなくなることで徐々に吸収されていきます。
これにより歯茎が下がり、顔の輪郭にも変化が生じ、老けて見える原因となることがあります。見た目の問題に加え、顎の骨が減少することで、将来的なインプラント治療が困難になることも考えられます。
口元の見た目が悪くなる
歯が欠けている状態は、見た目にも影響を及ぼします。特に前歯が欠けている場合、笑顔や会話時に口元の印象が大きく変わってしまいます。美観を保つためにも、早めの治療が推奨されます。
発音がしにくくなる
歯は発音に重要な役割を果たしています。歯がないことで、特定の音を正確に発音することが難しくなり、話すこと自体が不自由になることがあります。
特に日常生活や仕事でのコミュニケーションに支障をきたすため、注意が必要です。
口臭が強くなる
歯がないことで、食べ物のカスや細菌が蓄積しやすくなり、口臭が発生しやすくなります。口腔内の衛生状態が悪化することで、さらに歯周病や虫歯のリスクも高まるため、適切なケアが必要です。
胃腸への負担が大きくなる
歯がない状態では食べ物を十分に噛むことができないため、消化が不十分になり、胃腸に大きな負担がかかります。
消化器系のトラブルが発生しやすくなり、体全体の健康に悪影響を及ぼすことがあります。
関連記事:歯がないとどうなる?考えられるリスクと対策方法
虫歯の原因
虫歯の主な原因は口内の衛生管理不足と、食生活の偏りによるものです。
これらの要因が重なることで、歯が虫歯に侵されやすくなり、進行すると歯が失われるリスクが高まります。
虫歯は、口内に存在する細菌が食べ物の糖分を利用して酸を作り出し、歯を溶かすことから始まります。
日常の食事や間食によって頻繁に繰り返されると、歯のエナメル質が徐々に侵され、やがて歯に穴が開くことになります。
加えて、唾液の分泌量が少ない場合、口内の酸性度が上がりやすくなり、虫歯が進行しやすくなります。唾液は歯を保護する役割を果たしていますが、ストレスや脱水状態、加齢などによってその分泌が減少すると、虫歯のリスクが高まります。
また、食生活においても、糖分の多い食品や飲料を頻繁に摂取することで、口内が酸性に偏りやすくなり、虫歯が発生しやすくなります。
さらに、定期的な歯科検診やクリーニングを怠ることで、初期の虫歯を見逃し、重症化するケースも少なくありません。
これらの要因が複合的に作用することで、虫歯が発生し、放置すれば歯が失われるリスクに繋がるのです。したがって、日々の口腔ケアと定期的な歯科検診が虫歯予防において非常に重要です。
虫歯で歯がない場合の治療方法
虫歯で歯を失った場合、インプラント、ブリッジ、入れ歯といった治療方法があります。
それぞれの方法にはメリット・デメリットがあり、治療費も異なります。患者の健康状態やライフスタイルに合わせて最適な選択をすることが重要です。
それぞれの治療法について詳しく説明します。
インプラント
インプラントは、顎の骨に人工歯根を埋め込む手術を行い、その上に義歯を固定する治療法です。天然歯のような使い心地と審美性を兼ね備えているため、機能面で優れた選択肢です。
インプラントのメリットとデメリット
インプラントの大きなメリットは、咀嚼力や見た目が天然歯と非常に近いことです。
周囲の健康な歯に負担をかけることなく、自然な発音や食事を楽しむことができます。
また、長期間の使用が可能で、虫歯のリスクもありません。
一方、外科手術が必要であることや、インプラント周囲炎といった合併症のリスクがあり、費用も高額になります。
また、全身の健康状態によっては適用できない場合があります。
インプラントの治療費
インプラントの治療費は、1本あたり約40〜50万円と高額です。
ほとんどのケースで保険が適用されないため、自己負担が大きくなることが多いです。
治療期間は4か月から1年以上かかることが一般的です。
ブリッジ
ブリッジは、歯がない部分の両隣の歯を土台にして義歯をかぶせる治療方法です。外科手術を必要としないため、インプラントに比べて治療が手軽で、保険適用も可能です。ブリッジのメリットとデメリット
ブリッジのメリットは、比較的短期間で治療が完了し、保険が適用されるため、費用を抑えることができる点です。
しかし、デメリットとして、土台となる健康な歯を削らなければならないことが挙げられます。さらに、ブリッジを支える歯に負担がかかり、その歯が将来的に弱くなるリスクもあります。
ブリッジの治療費
ブリッジの治療費は保険適用の場合、約2万円前後が一般的です。
治療期間は2~3週間程度で完了するため、比較的短期間で歯を取り戻すことが可能です。
入れ歯
入れ歯は、取り外しが可能な義歯で、部分入れ歯や総入れ歯などが選択肢としてあります。特に多くの歯を失った場合に適用され、費用も他の治療方法に比べて安価です。
入れ歯のメリットとデメリット
入れ歯の最大のメリットは、保険適用が可能で、費用が安価であることです。
さらに、取り外しができるため、ケアがしやすいという点もあります。
一方、咀嚼力がインプラントやブリッジと比べて低く、装着時に違和感を覚えることが多いのがデメリットです。
また、長期間使用すると顎の骨が吸収され、歯茎が下がることがあります。
入れ歯の治療費
保険適用の部分入れ歯であれば、治療費は約3,000円からが相場です。
治療期間も2週間から1か月程度と短く、手軽に治療を開始できます。ただし、自費治療の場合は、さらに高額になることがあります。
関連記事
・歯がない状態の治療を紹介|最適な治療法とは?
・ほとんど歯がない場合の治療費|治療費を抑える方法も紹介
虫歯で歯がない場合は早めに治療すべき理由
結論として、虫歯で歯がなくなった状態を放置すると、身体全体の健康に悪影響を及ぼすリスクが高まります。早めに治療を行うことで、こうしたリスクを未然に防ぎ、生活の質を維持することが可能です。
歯が失われた状態を放置すると、まず咀嚼機能が低下します。食べ物を十分に噛めなくなることで、消化器官に負担がかかり、胃腸の不調を引き起こすことがあります。さらに、噛むことが少なくなると、脳への刺激が減り、認知機能の低下や認知症リスクの増加につながる可能性も指摘されています。
また、歯がない部分に周囲の歯が移動してしまい、歯並びが乱れることがあります。この影響で、噛み合わせが悪化し、顎関節症の発症リスクも高まります。さらに、歯が失われた部分の顎の骨が吸収されることで、顔の形に変化が生じ、老けた印象を与える原因となることもあります。
見た目の面でも、歯が欠けた状態は笑顔や話す時の印象を大きく損ないます。特に前歯を失った場合、口元の美観が著しく低下し、日常生活でのコミュニケーションにも影響が出るでしょう。また、発音にも支障が出るため、日常の会話が不自由になることも考えられます。
さらに、歯がない部分に食べ物のカスや細菌が溜まりやすくなることで、口臭が発生しやすくなります。口腔内の衛生状態が悪化すると、さらに虫歯や歯周病のリスクが高まるため、健康面でも大きなデメリットとなります。
このように、虫歯で歯がなくなった状態を放置することは、多くのリスクを伴います。早めの治療を行うことで、これらのリスクを回避し、健康的な生活を送ることができるため、できるだけ早く歯科医に相談することが重要です。
まとめ
虫歯で歯を失った状態を放置すると、咀嚼機能の低下や栄養バランスの乱れ、認知症リスクの増加、歯並びの悪化、顎関節症や顔の形の変化など、健康面や生活の質にさまざまな悪影響を及ぼすリスクがあります。
インプラント、ブリッジ、入れ歯といった治療法があり、それぞれにメリットとデメリット、費用が異なるため、自分に合った治療法を選ぶことが重要です。早期に治療を行い、口元の健康を維持するために歯科医に相談することが推奨されます。
監修者
おくだ歯科 院長
奥田 幸祐(オクダ コウスケ)
プロフィール
歯科医師として歩みを始めたときから、インプラント治療における様々な症例に対応し、他院で治療ができなかった難症例も数多く治療してきました。自身が日々研鑽を積むだけでなく、多くのドクターにインプラント治療の指導も行っています。この豊富な経験と実績で、皆様に寄り添い難症例にも対応してまいりますので、お悩みの方は是非一度当院にご相談ください。
経歴&職歴
- 平成17年:朝日大学 歯学部 首席で卒業
- 平成17年〜24年:付属病院、開業医勤務
- 平成25年:おくだ歯科・矯正歯科 可児市広見にて開業
- 平成27年:医療法人化 医療法人ALESおくだ歯科・矯正歯科
- 平成27年:厚生労働省認定 歯科医師 臨床研修指導医 取得
- 令和5年:日本顎咬合学会 嚙み合わせ認定医 取得
- 令和5年:特定非営利活動法人 放射線学会 CBCT認定医 取得