歯の豆知識を紹介しております。
歯科衛生士の川野です。
今回は「高齢者の口腔内の変化とその対応」についてお話しします。
高齢になり、噛む力が弱くなったり入れ歯が合わなくなったりすると、噛みにくい食べ物が増えてきます。噛みにくくなると噛む回数が減って細かくなるまで噛まずに飲み込んでしまい、胃や腸に負担がかかり、消化吸収に悪影響が出てくる場合があります。また、食べられないものがあると栄養が偏って栄養不足を引き起こす場合もあります。
しかし、噛みやすいからといってやわらかいものばかり食べていると唾液の分泌が減少し、口の中で食塊(食べ物が唾液と混ざって飲み込める大きさになる)が作られづらくなり、味わいも感じにくくなります。また、唾液が減少すると口の中が汚れやすくなり、口の中で繁殖した菌が気管に落ち込むと誤嚥性肺炎の原因にもなります。
こんなときは要注意!
噛みにくい食べ物がある 噛む力が弱くなったり、入れ歯が合わなくなったりすると、今まで食べていた食べ物が食べにくくなってきます。また弾力のあるこんにゃくや繊維のかたいセロリのような野菜、粘着性の強いもちなどが噛みにくくなります。
食べ物がなかなか飲み込めない 噛む力が弱くなって、食べ物を細かく噛み砕くことができなくなると、口の中でうまく食塊が作れないため、飲み込めなくなります。そのため、いつまでも口の中に食べ物が残ってしまうのです。
舌の上が白い 食べ物をうまく噛んだり飲み込んだりできないと、舌が白くなります。これを舌苔といいます。これは口の中の汚れに微生物が発生している状態です。また唾液の分泌量が極端に減少しているときにも付着します。
食べ物を噛みやすくする工夫として、やわらかい食材を選ぶ、やわらかくなるまで加熱する、切り目を入れる、食べやすいように切る、パサパサするものはしっとりさせる等いろいろあります。また入れ歯をつけている人は、定期的に歯科で検診を受けて入れ歯の調整をし、自分の口によく合った入れ歯で、少し噛み応えのある料理を楽しんで食べるようにしましょう。
おくだ歯科では定期検診の際に、入れ歯の調整だけでなく、お口の中のお掃除やご自宅でのケアの方法もアドバイスしています。気になる症状がある時だけでなく、定期的に診ていくことで小さな変化に気付くことができ、早めの対応、予防ができますので、ぜひ定期検診にお越しください。